『 Mother's Day at the Castle Green 』- The latter part
前回に続き、" Mother's Day at the Castle Green Tour "の後編である。
パサデナの街を歩いていると、一際目を引く建築物がある。
”キャッスル・グリーン”
かつて”グリーンホテル”と呼ばれていたパサデナを代表する、独特な建築様式(ヴィクトリアン様式とムーア様式との混合ともいえる)の豪華ホテルの別館であった。
建築家 フレデリック・ローリグ により1898年に建てられ、第23代アメリカ合衆国大統領、ベンジャミン・ハリソンをはじめ、各界の有名人がこのホテルを訪れた。
また非公開の会員制社交クラブのValley Hunt Clubの活動拠点としても繁栄した。
その後、1924年に常連客グループにより別荘として買い上げられ、現在はコンドミニアムになっているので、通常、一般の人々が敷地内を見学することはできない。
だだし、年2回、5月と12月にそれぞれ1日づつ、それが可能なツアーを設けてあって、その一つが今回参加した ”Mother's Day at the Castle Green Tour "である。
ツアー参加者は、次々とメインロビーのある1階を後にして、階段を上っていく。
まず、"Bridge"と呼ばれるかつてのグリーンホテルのメインへと繋がる橋の内部を歩く。
現在、修復中のようで、資材があちらこちらに置かれていた。
このツアーでの収益金等はこうした部分にあてられるそうだ。
"Bridge"の窓から見た風景。
そして、各階の住人の部屋への訪問が始まった。
最初の部屋の横に貼ってあったが、ティム・バートンや、マーク・ライデンもここの住人だったらしい。
ある種、世界的なアーティストがこの場所で創造的なミューズに導かれ、インスピレーションを授かっていたのかもしれない。
このツアーのユニークな点は、20人以上の住人が思い思いにリノベーションした部屋を開放して、見学できるようにセッティングしてくれていることだ。
これがまた各々、その部屋の細部に渡る意匠へのこだわりようが半端なくて、思わず、見入ってしまう。
へたなアミューズメントパークへ行くよりも面白いこと請け合いだ〜☆
それでは、おじゃましまーす。
壁の三角コーナーを利用して、逆に開放的な書斎にした20X号室
ダークブルーの壁を基調に個性的なアート写真を一面に張りめぐらしてある20Z室
程よいモダンさとクラシック加減。
心地良い風がくるベランダ。
40X号室
赤、黄、黒と、カルダーのモビールやミロやカンディンスキーを中心にしたラインや色あいでまとめてある、モダンでシックな部屋。
バウハウス的なオブジェも個人的には好きなので、つい、いろいろと見てしまう。
窓から見えるパームツリーと街の景色が実にいい。
50X号室
アトリエを兼ねた住居。
一見散らかっているように見えるが、アーティスト然とした感じが伝わって逆に落ち着く。
50Z室
思わず本物かと思って、声をかけそうになってしまった少年のオブジェがリアルすぎる!
真鍮製のアンティークな望遠鏡はじめ、一見して無国籍というかユーラシアというか、個性ある椅子やテーブルなどを含めて(写真は載せられないが本人のルックスも含めて)強烈なこだわりを感じる60▽室
最上階の景色。
ペントハウスは撮影禁止だった。
訪ねてみた方のお楽しみということで良いのではないだろうか。
まだまだ、他の部屋もそれぞれ個性があって、紹介したいのだが、ミステリアスなまま残っているものがあったほうが、ここにはふさわしい気がする。
ツアー当日の使用は禁止されていた西海岸で最も古いといわれる錬鉄エレベーター
住民は今でもこれで上り下りしているのだろうか。
1階のサロンに戻ると簡易的なジャズの演奏会が開かれていた。
見た目の雰囲気と一聴した感じ、客同士の即興によるものだろう。
陽が傾きはじめてきた頃、キャッスル・グリーンを後にした。
今回の" Mother's Day at the Castle Green Tour "人によって様々な印象があるだろうが、それぞれのスタンスによって充分楽しめると思う。
パサデナの歴史を紐解いて、思いをめぐらしてみるも良し。
無声映画の時代のようなレトロな情景の雰囲気に浸るも良し。
個性的に改築されている各部屋を参考に自分の部屋の改造プランを考えてみるも良し。
ホンテッド・マンション(幽霊屋敷)としても実は名高いこの幻想的な建築物を、住民から具体的に話しを聞いてみるも良いのではないだろうか。
Castle Green
99S. Raymond Avenue
Pasadena, CA 91105
http://castlegreen.com/about/
by TERAN3_3
| 2017-05-14 23:59
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